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BLOG · データ分析入門・マーケティング
アソシエーション分析(併売分析)をアニメーションで理解する
「これを買う人はあれも買う」をレシートから見つける仕組みを、動かして確かめる
公開日 / 著者 富田 良治(TITC合同会社 代表社員)
アソシエーション分析(併売分析・バスケット分析)は、大量のレシートから「一緒に買われやすい商品の組み合わせ」を見つけ出す手法です。ただ「よく一緒に買われる」だけでは、人気商品どうしが偶然そろっただけかもしれません。そこで支持度・信頼度・リフト値という3つの数字で、本当に関係の深い組み合わせかどうかを見分けます。下のデモで、その手順を目で追ってみましょう。
アソシエーション分析とは
お店のレシートには、「この人は何と何を一緒に買ったか」が1枚ずつ記録されています。これを大量に集めて、「ビールを買う人は、おつまみも買うことが多い」といったルールを自動で拾い出すのが、アソシエーション分析です。「これを買った人は、あれも買う」という形で表すので、「X→Y」と書きます。
有名な話に「おむつとビール」があります。「スーパーで、おむつを買う男性がビールも一緒に買っていた」というものですが、実際にあったことかどうかは諸説あり、データ分析の教材として語り継がれた面が大きいようです。大切なのは、人の思い込みでは気づかない組み合わせを、データから見つけられるという考え方のほうです。
動かして確かめる
左が、ある小さなお店のレシート24枚です(架空のデータ)。1枚に入っている品目が、色つきの四角で並んでいます。右が集計とルールの一覧です。「再生」を押すと、①レシートを数える、②少ない品目を外す、③2つ組を数える、④ルールを作って計算する、⑤並べ替えて絞る、の順に進みます。「1段ずつ」なら、1つの段階ごとに止まります。
画面のなかの「最低支持度」「最低信頼度」のボタンを変えると、残る品目やルールが変わります。ルールの行をクリック(タップ)すると、そのルールに当てはまるレシートが色分けされ、数字の意味が文章で出ます。
最低支持度(全レシートのうち何%に出る組を残すか)
最低信頼度(Xを買った人のうち何%がYも買うルールを残すか)
最低支持度 10%(3 枚以上)/ 最低信頼度 40%
残った品目 - / 7 種、支持度を満たす2つ組 - 組、条件を満たすルール - 個
「再生」か「1段ずつ」を押してください。
ルールの一覧ができたら、行をクリック(タップ)してください。当てはまるレシートが光り、信頼度とリフトの意味が出ます。
左:レシート24枚(黄=Xも Yも買った/青=Xだけ買った)/右上:品目ごとの出現回数と最低支持度のライン(赤の点線)/右下:2つ組の回数、またはルール一覧。
3つの指標:支持度・信頼度・リフト
ルール「X→Y」(Xを買った人はYも買う)の良し悪しは、次の3つの数字で見ます。
- 支持度:全レシートのうち、XもYも入っている割合。「そもそも、その組み合わせがどれくらい起きるか」です。小さすぎると、たまたまの可能性が高いので、最低支持度で足切りします。
- 信頼度:Xを買ったレシートのうち、Yも入っている割合。(支持度(XとY)÷ 支持度(X))。「Xを買った人の何%がYも買うか」です。
- リフト:信頼度 ÷ Yを買う割合(全体)。「Yは、もともと全体の何%が買うのか」と比べて、Xを買った人のほうが何倍Yを買いやすいかを表します。1なら関係なし、1より大きければ一緒に買われやすく、1より小さければ買われにくいという意味です。
リフトがいちばん大切です。牛乳やパンのような人気商品は、どの組み合わせでも「よく一緒に出る」ように見えます。信頼度だけを見ると、「牛乳を買った人の50%がパンを買う」と立派に見えますが、パンはもともと全体の50%が買っているので、リフトは1.00。つまり、牛乳を買ったからといってパンを買いやすくなるわけではありません。リフトは、この「人気商品どうしの偶然」を取り除く物差しです。
デモで確かめてほしいこと
- まず「再生」で最後まで見る。④で信頼度とリフトが計算され、⑤でリフトの大きい順に並び替わります。
- 「ビール→おつまみ」の行をクリック。ビールを買った6枚のうち5枚がおつまみも買っていて、信頼度は83%です。おつまみは全体の29%しか買っていないので、リフトは約2.9。偶然より3倍近く、一緒に買われています。
- 「牛乳→パン」の行をクリック。信頼度は50%と高めですが、リフトは1.00です。人気商品どうしなので、偶然でも同じくらい一緒に出る組み合わせだとわかります。
- 「卵→パン」の行をクリック。リフトが1より小さく、「卵を買った人は、むしろパンを買いにくい」組み合わせです。信頼度の数字だけ見ていては、気づけません。
- 最低支持度を上げてみる。10%から30%、40%と上げるほど、残る品目とルールが減っていきます。まれな組み合わせほど先に消えます。なお、②で品目を先に外してから2つ組を数えるのが、アプリオリ(Apriori)法と呼ばれる計算の工夫です。「まれな品目を含む組は、それ以上にまれ」なので、数える手間を大きく減らせます。
- 最低信頼度を上げてみる。⑤で、基準に届かないルールが灰色になります。
仕事での使いどころ
- 売場の配置を決める。リフトの高い組み合わせ(例:ビールとおつまみ)を近くに置くと、ついで買いを促せます。逆に、離して置いて店内を回遊してもらう、という使い方もあります。
- セット販売・おすすめセットをつくる。一緒に買われやすい商品を組にして、セット価格や「いつものセット」として提案できます。
- クロスセル(ついで買い)の提案。レジや接客で「ご一緒にいかがですか」と案内する商品を、勘ではなく、リフトの高い組み合わせから選べます。
- ECの「一緒に買われている商品」。ネット通販の商品ページに表示するおすすめは、まさにこの考え方です。自社のショップでも、購入履歴から同じ表示を作れます。
- POSデータ・会員カードの活用。レジのPOSデータや会員カードの購買履歴が、そのまま分析の材料になります。会員カードがあれば、「1回のレシート」だけでなく「同じお客様が買ったもの」まで広げて見られます。
使うときの注意点
- 相関であって、因果ではありません。「ビールを買うとおつまみも買う」は事実でも、「おつまみを置けばビールが売れる」とは限りません。試験的に配置を変えて、売上が実際に動くかを確かめましょう。
- 件数が少ない組のリフトは不安定です。たまたま2〜3枚で一緒に出ただけでも、リフトは大きくなります。そのため、支持度に下限(最低支持度)を設け、一定の件数がある組だけを見ます。デモの「クッキー」は2枚しかなく、②で外されます。
- 品目の粒度の決め方で結果が変わります。「ビール」とひとまとめにするか、銘柄ごとに分けるか。細かく分けすぎると、どの組も件数が足りなくなります。まず大きめのカテゴリで見て、気になる組を細かく見るのが現実的です。
- 季節・キャンペーン・曜日の影響を受けます。セール期間や年末の贈答シーズンのデータだけで作ったルールは、ふだんの日には当てはまりません。期間を分けて見るなどの工夫が必要です。
まとめ
アソシエーション分析は、レシートの束から「一緒に買われやすい組み合わせ」を取り出す手法です。支持度で「そもそも多いか」、信頼度で「Xを買う人がYも買うか」、リフトで「偶然以上に結びついているか」を見ます。人気商品どうしの偶然に惑わされないために、リフトを必ず確認しましょう。
富田 良治(とみた よしはる)
TITC合同会社 代表社員
AI経営コンサルタント。中小企業診断士・ITストラテジスト。元ITエンジニアで駄菓子屋オーナー。 プロフィールを見る