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BLOG · AI入門・機械学習
決定木分析の動きをアニメーションで理解する
「はい/いいえ」の質問で、データを分けて予測する仕組みを、動かして確かめる
公開日 / 著者 富田 良治(TITC合同会社 代表社員)
決定木(けっていぎ)は、「はい/いいえ」の質問を繰り返してデータを分け、結果を予測するルールの木をつくる手法です。たとえば「ダイレクトメール(DM)に反応して購入するお客様か、しないお客様か」を、来店回数や平均購入額から見分けたり、「解約しそうなお客様に共通する条件」を探したりするときに使われます。下のデモで、木が少しずつ育っていく様子を見てみましょう。
動かして確かめる
左の図の点の一つひとつが、お客様です。横軸は「来店回数」、縦軸は「平均購入額」。青い丸(●)は「購入した」、赤いバツ(×)は「購入しなかった」お客様です。まずは「再生」を押してください。左の図に区切り線が入るたびに、右側に「質問の木」が育っていきます。
お客様の分布(区切り線が入っていきます)
● 青い丸=購入した × 赤いバツ=購入しなかった / 背景の色は、その領域の多数派(青=購入する、赤=しない)
質問の木(上から下へ、質問で枝分かれします)
木の四角をクリック(タップ)すると、その質問と件数が表示されます。左が「はい」、右が「いいえ」です。
「再生」か「1ステップ進む」を押してください。
正解率(いま見えているデータでの予測の当たり具合):-
木の大きさ:質問 0 個/グループ(葉)1 個
区切り位置ごとの「混ざり具合」(区切った後の平均。低いほどきれいに分かれています)。緑=来店回数で区切る、紫=平均購入額で区切る。
木が完成したら「予測してみる」を押し、左の図の好きな場所をクリック(タップ)してください。その場所に新しいお客様がいたら、どう予測されるかを、木をたどって示します。
何が起きているのか:質問を選んで、分けて、繰り返す
決定木は、次の手順で質問を1つずつ決めていきます。
- 区切り候補をすべて試す:「来店回数が○回より少ないか」「平均購入額が○円より低いか」といった質問を、境目の位置を少しずつずらしながら、片っ端から試します。(デモで区切り線が左から右へ走るところ)
- いちばん混ざり具合が減る区切りを選ぶ:区切った後の各グループに、青と赤がどれくらい混ざっているかを「不純度(ジニ係数)」という数字で測ります。0に近いほど1種類だけ、0.5に近いほど半々に混ざっている状態です。この数字がいちばん小さくなる区切りを採用します。(グラフの最も低い点。デモで線が黄色く決まるところ)
- 分かれた各グループで同じことを繰り返す:区切った左右それぞれを、また同じ手順で分けていきます。木が下へ伸びていきます。
- 止める条件:「決めた深さまで来た」「グループが1種類だけ(純粋)になった」「件数が少なすぎる」のいずれかで、そこを木の末端(葉)にします。
- 新しいデータは木をたどって予測:新しいお客様は、質問に「はい/いいえ」で答えながら根元から枝をたどり、着いた葉の多数派を予測結果とします。(「予測してみる」)
「最大の深さ」を変えて比べてみてください。浅いとざっくりした分け方に、深いと細かい分け方になります。細かければ良いとは限らない点は、次の「注意点」で説明します。
使うときの注意点
- 深くしすぎると「過学習」になります。「データの形」を「ノイズ多め」にして、深さを6まで上げてみてください。正解率は深さ3のときより上がりますが、それは偶然まぎれ込んだ例外まで丸暗記して細かく分けたためで、新しいお客様にはうまく当たらなくなります。
- 区切りは縦か横の線だけです。「斜めの境界」を選ぶと、本当は1本の斜めの線で分けられるのに、階段状の区切りを何本も重ねることになります。「ドーナツ型」も同様に、たくさんの四角でおおまかに近づけるしかありません。
- データが少し変わると、木の形が大きく変わることがあります。「データを作り直す」を繰り返すと、質問の順番や位置が変わるのが分かります。この不安定さを補うため、たくさんの木の多数決をとる「ランダムフォレスト」などの手法がよく使われます。
決定木の良いところ
最大の長所は、結果が「ルール」として読めることです。「来店が4回以上で、平均購入額が3千円以上のお客様は、DMに反応しやすい」のように、人に説明し、現場の施策にそのまま使える形で出てきます。予測の精度だけでなく、「なぜそうなるのか」を知りたい場面に向いています。
中小企業での使いどころ
顧客名簿や購買履歴があれば、「DMに反応して購入する人の条件」「解約しそうな人の共通点」「返品が多い取引の特徴」などを、ルールの形で洗い出せます。出てきたルールは、そのまま案内の対象を絞る基準になります。ただし、データの量が少ないと偶然の偏りを拾いやすいので、結果は「仮説」として現場の感覚と突き合わせるのが安全です。
富田 良治(とみた よしはる)
TITC合同会社 代表社員
AI経営コンサルタント。中小企業診断士・ITストラテジスト。元ITエンジニアで駄菓子屋オーナー。 プロフィールを見る